コロナウィルスに感染した場合の家庭内感染が多いという報道をよく目にするのですが、換気経路による感染のリスクについては、きちんとニュースに出ていない気がします。
いち、住宅を作るものとしてお知らせしなくてはと思いここに書かせて頂きます。
もし家庭内で感染者がでた場合、3密にならないよう気を付け、家族間で共有するトイレやお風呂の除菌をし、接触しないようにしたりして工夫することはもちろんですが、それ以外に家の中での換気経路によって運ばれるウィルスでも感染するリスクがあります。
住宅業界以外の方は結構知らない方も多いと思うので、一応、換気の基本から丁寧に書きます
一般に多い第三種換気の家の場合です。
第3種換気よる空気の流れ
一般の住宅のほぼ9割は第三種換気といい、トイレや浴室についている換気扇で家じゅうの汚れた空気を集めて輩出します。この換気扇は一日中24時間つけっぱなしにすることで、密閉された家に常に新鮮な空気を取り込むことができます。換気扇から出ていく空気があれば、同じ量だけ新しい空気が入ってくるのですが、新鮮な空気はどこから入ってくるかというと各部屋の壁にある給気口です。給気口は、ろうかや物置には設置されず、人が生活をする居室に取り付けられています。感染者がいる隔離された部屋の給気口から入った空気がドアの下を通り、トイレなどにある換気扇まで移動する途中の経路であるリビングや廊下を介してウィルスが拡散されてしまいます。これが換気経路によって感染するリスクです。
下の図がわかりやすい絵になります。
株式会社マーベックス パンフレット「換気でのコロナ対策はできていますか?」より抜粋
家庭内に感染者がでた場合の具体的な対策
すぐにできることとして
・感染者がいる部屋のドアの隙間を塞いで部屋間の空気の流れをめ、感染者のいる部屋の窓をあけて室内で独立した換気にする
・換気扇のある部屋に一番近い部屋に感染者を隔離する(ウィルスを風下側に)
しかし、窓の開閉よる換気は夏の暑い時期や冬の寒い時期に向きません。打開策として
・最近発売された換気のできるエアコン(ダイキン)を隔離室に取り付ける
・同時吸排気の換気扇を隔離室に取り付ける(もしくは普通の換気扇をつけて窓を1㎝弱すこーしあける。窓から給気して換気扇で排気)
こうすることで隔離室の中のみで換気が完結できるのではないかと思います。
換気のできるエアコンは、家全体の換気をするには全く換気量が足りませんが個室ひとつを換気するぐらいなら賄えます。あとから急に設備をつける場合であれば同時吸排の換気扇をつけるのが安価で手っ取り早いですが、もしも新築時や買い替え時などで新しいエアコンをつける機会があれば換気機能のついたエアコンを設置することは万が一に備えられてとても良いのではないかと思います。
前もって、感染者がもしでた場合に隔離する部屋を決めておき、その部屋の換気を事前に考えておく必要があるということですね。
コロナ感染者に限らず、風邪でもインフルエンザでも、換気経路による感染は同じです。知っておくだけで、少しでも家庭内感染のリスクを減らせる筈だと、思います。
今回は、ほとんどが第三種換気の家に住む方ばかりだろうと思い重点的に書きました。
第一種換気といって給気も排気も機械によって行う場合は、換気経路によるリスクはほぼありませんのでそれについてはまた次回書きたいと思います。